キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─




「どーした?負けるのか?」


「っ!」



引きそうになった背中をぐいっと、押さえてきたのは。

それもまた、クールでハンサムな担任。


そうだ、負けるわけにはいかない。
わたしには役目があるし、目的だってある。


こんなところでナメられるわけにはいかないのだ。



「おっ、お前らっ!俺は理事長の孫だからな…!!生意気言ってると退学にさせるぞ!!」



教室、静まる。

どうだこれで効いたかと安心したわたしは、どうにも逆の意表を突いてしまったらしい。



「ふっ、ぎゃははっ!かっけー!かっけーわ郡くん!おー、こえーこえー」


「………」



あ、ちがう。
イントネーション間違ってる。

それアイスの氷のほう。

正しくは“勝利”と同じイントネーションでお願いします。



「ちなみに退学?全然いーんだよなあ」


「オレもちょうど甘彩学院に行こうと思ってたし!ラッキー!」



そしてわたしの武器、そこまで奴らに効果はなく。



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