乙女と森野熊さん


「真奈美!」


思わず真奈美にかけより、しゃがんで呆然としている真奈美の腕を掴む。

真奈美はショックを受けているのか目の焦点が虚ろになっていて、何か後ろで動いた気配に振り仰げば、そこにはナイフを振り上げた真奈美の父親が無表情で私を見下ろしていた。

すぐに真奈美に覆い被さるように抱きしめて、目をぎゅっと瞑る。

あぁ、私、ここで死ぬのか。刺されたら痛いんだろうな。

怖いのに、声も出ないのに、冷静な頭がそんな事を考えている。


『熊さん・・・・・・』


そんな時によぎったのは、あんなに大好きだった両親では無く、無表情で大きな人。


『ごめんね』


誰に向かって私はそう思ったのだろう。

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