乙女と森野熊さん
「彼女たちはここを管轄する警察署の警察官だ。この件に関して君に聞きたいことがある。まずは場所を移動しよう」
熊さんがそう言うと、近くに控えるように立っていた女性達が真奈美の側に行き、
「大丈夫?立てる?」
と声をかけながら真奈美を支えて立ち上がらせた。
熊さんが立ち上がるとき私に手を差し出してくれたけど、私は断って一人で立ち上がり、真奈美、と声をかければ、
「ごめん、ごめんね」
泣きそうな顔で私に向かって繰り返した真奈美に、
「大丈夫だよ」
それだけ何とか声をかけると真奈美は笑みも無く小さく頷き、近くに止めてある車に連れて行かれた。
やっと周囲を見る余裕が生まれ、周囲を見れば何台かの普通の車が停まり、お巡りさんや大人達が物々しくいて、野次馬も集まり、私は自分の周囲でこんなに人がいることを初めて知る。
「俺たちも移動しよう」
熊さんの声に私は顔を上げれば向こうで真奈美とは違う車に乗せられた真奈美の父親が見え、私は右手を握りしめて歯を食いしばった。