乙女と森野熊さん

「これはね、警察官だろうと、普通の職業でも守らなきゃいけないものはいけないんだ。
特に俺たちのような仕事は、誰にも言わないからこそ相手は安心して話すことが出来る。

俺がいくら乙女ちゃんが心配しているからと言って話してしまうと、佐藤さんは警察だから安心して正直に話したのに、何故乙女ちゃんが知っているんだと不信感を持つ可能性だってある。そうしたらもう二度と警察に話してくれないかもしれない。そういう影響だってあるんだ」

気が付けば顔を上げて、じっと熊さんの話を聞いていた。
段々冷静になってきたのか頭に熊さんの話が入ってくる。

もし真奈美がお母さんのところにいると熊さんから聞けば、もし真奈美に会ったときに自分でそう考えたのだと嘘を通せるだろうか。

下手に口を滑らせてしまえば、真奈美は熊さんを信用しなくなる。それはおそらく真奈美にとってもいけないのだということは理解できた。

「ごめんなさい、熊さんに迷惑かけるつもりはないの。もう聞かない」

やはり目線を合わせられずにそう言うと、

「とりあえず、連絡を待っていれば良いんじゃ無いか」

ちょっとだけ熊さんの顔を見てもやはり表情は変わらない。

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