乙女と森野熊さん

「彼女にも時間が必要だろう。

彼女が連絡したいと思ってくれるまで待つ、というのも友人だからこそ出来ることの一つじゃ無いだろうか」

「でも、待つだけじゃ一人にされたと思わない?」

「だから一方通行で良い、もしスマートフォンが繋がっているなら適度に何か送れば良い。もちろん送る内容は気をつけて。

きっと彼女は今、心身一杯一杯の状態だろう。そこに乙女ちゃんが酷く心配していることを突きつけられれば苦しむ可能性もある。

だから、とても難しいけれど良い距離を、彼女にとって楽になる言葉を探し出すんだ。

ただ待つよりも大変だけど、どうする?」

私はその言葉に正直怖くなった。自分のすることが真奈美を追い詰めたり傷つけることになるかもしれない、それこそ自己満足で終わる可能性もある。

でも、この手を離してはいけない。それだけはわかる。

「時々で良いの、真奈美に送るメール、添削して貰っても良い?」

「もちろんだ」

その言葉をもらえて、私の顔はわかりやすく緊張感が抜けている。
それだけ熊さんの言葉は私にとって支えなのだ。
熊さんが側にいて、未熟で子供な私を正しく導いてくれる。
その信頼が、余計にこの後一人で歩んでいくことを反動のように怖く思わせた。


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