乙女と森野熊さん

両親が居た頃、モテるお姉ちゃんに比べ一度も告白されたことも無い私は、早く彼氏が欲しいと言った。
それをお父さんが止めろ止めろと言うので反論していると、最後は悲しそうな顔で部屋に行ってしまった。
お母さんにはお父さんをあまり苛めては駄目、と言われ、未だに納得できない。


「乙女ちゃんが来たあと、大変だったんだよ」

急な話に何のことか首をかしげる。

「美少女が来たと若い連中が騒ぎ出して、いつも俺に話しかけない奴らまでこぞってあれこれ聞きに来た。

途中見かけたという連中まで俺の所に来て、俺はそいつらを追い払うのにしばらく大変だった。

それであの日乙女ちゃん達の様子を所轄の女性署員と探しに行く予定が、部下達がこぞって来たがって、いつになく俺の命令に素直に従うほどの異常さだ」

ふぅ、と熊さんが息を吐いて、私はまさかそんな事になっていたとは知らず驚いていた。確かにあの事件の時沢山男性来ているなとは思ったけれど。

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