乙女と森野熊さん
「で、大学受験をする、で良いね?」
最後通告のような何だかもの凄いプレッシャーに私は、
「お願いします」
と小さく返事をする。
何故か途中から熊さんは不機嫌になってしまったようで、私にはそれがどこでだったのか、何がそうさせたのかさっぱりわからなくなっていた。
「あの、お金なんだけど」
「俺が全部出す」
「でも」
「却下だ」
遠慮しながら声を出したのに、その度に大きな扇風機で簡単に吹き飛ばされた気分だ。
仕方が無い、今は熊さんに甘えて、成人したら借りた分は返せば良い。
今は子供の私がお金を使うことが信用できないのだろう。
「あの」
私が再度そろりと声を出す。
「怒ってる?」
上目遣いに様子をうかがうけれど、熊さんの表情は変わらない。
「怒っていない」
「でも怒ってる感じがする」
熊さんは長いため息をついた。