乙女と森野熊さん
私はおそらくそういう事に関して臆病だ。
だから男子の方から誰か来てくれないか待っている。
それなら嫌なことを言われなくても済むのだから。
「とりあえず」
熊さんの声に手元を見れば、既に二つ目のビールを飲んでいて驚いた。
「乙女ちゃんは大学受験をする」
「はい」
「今から出来るだけ学校や学部を絞ること。冬休みには予備校に行ってもらうから。わからない所は俺が教える」
「はい・・・・・・」
肩を落とし力なく返事をする。
「それと誰か告白してきたら俺に報告すること。好きな人が出来ても報告すること。勝手に交際を始めないこと」
「えー!なんで?!」
そんな内容、驚くに決まってる。なんで熊さんにいちいち報告しなきゃいけないのか。恥ずかしすぎて無理だ。
「相手がまともな男なのか確認する」
「それは横暴じゃ」
「乙女ちゃんは間違いなく騙される。
そんなことになればご両親に申し訳ない」
「酷い!それで一生彼氏も出来ずに結婚できなかったらどうするの?!」
「ならその時は、俺が責任を取る」
静かで平坦で表情も無く言われた言葉に私の頭が真っ白になる。