乙女と森野熊さん
「以前言っていただろう?
彼氏にするなら、自分よりも身長高くて強くて頭の良い人がいいと。
それだけならおそらくクリアしている。一番の問題は年齢だけどな。
それなら一生相手がいない可能性は無くなっただろう?
おかしな事は気にしないで、目一杯高校生も大学生も楽しめば良い」
私は呆然とビールを缶から飲んでいる熊さんを見る。
どういう意味で言ってるんだろうか。
「えっと、熊さんが私をもらってくれるの?」
「誰も乙女ちゃんのお眼鏡にかなう相手がいなくて、結婚するのにさっきの条件さえ満たせば誰でも良い場合はね」
「あの、結婚は好きな人とするんだよ?」
確認するように言えば、熊さんの眉間にまた皺が寄る。
「乙女ちゃんは俺が嫌いか?」
「嫌いじゃ無いよ」
「なら良いじゃ無いか」
私の頭の中は何か難しいことが怒濤のように押し寄せて、既に私のちっさな脳では解析することが出来ない。
これは子供では理解できない大人的な言い回しなのだろうか。
口に手を当て唸っていると、小さな笑い声が聞こえて思わず熊さんを見た。
でももう口元もいつも通りで、私は再度笑わないかじっと見る。