乙女と森野熊さん

「もしかして、からかってる?」

上目遣いで確認するようにすると、大きな熊の目にロックオンされた気がして思わずぶるっと身体が震えた。

「言っただろう、俺の使命は乙女ちゃんを守ること、幸せにすることなんだ。
だからこの後の俺の人生はそれに使おうと思っている」

「いやいやいや、なんか壮大になりすぎてませんか?!」

おろおろと言えば、少しだけ熊さんの口角が上がった。
あぁそうか、きっと私の気を紛らわせようとしているのかな。
私一人にはならないと、熊さんは言ってくれているのかも知れない。

私はその冗談に乗ることにした。

「じゃぁ、私にずっともらい手無くて、熊さんも誰も相手がいなかったら、お姉ちゃんの意志を継いで私がもらってあげるよ、私が選ぶ側なんでしょ?」

ふふん、と偉そうに言えば、熊さんが目を丸くした。
そんな熊さん、見たことない気がする。
そしてやんわりと笑った。
< 197 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop