乙女と森野熊さん
「俺は記憶力が良いからな、覚えているよ、その言葉」
「あ、うん・・・・・・」
なんかもっと冗談で返されると思ったので、気の抜けた声で返してしまった。
もしかして熊さんは本気なのだろうか、いやまさか。
私が難しい顔をしていると、
「佐藤さんに、女子大生になったと胸を張って連絡できるように頑張らないとな」
「うん、そうだよね」
そうだ、真奈美はあんな苦しい状態の中で私の後押しをしてくれた。
ならきちんと報いなければいけない。
「まずは大学選びつつ受験勉強頑張ります」
びしり、と背筋を伸ばしてハキハキと言えば、熊さんの目は細くなって頷いた。
さっきの熊さんの訳のわからない言葉は置いておこう。
最初の時より遙かに楽になった気持ちで、既に冷めてしまったおかずを口に入れた。