BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「その時、俺まだ24で自立してなくて……」
「わ、私は24にもなってませんが」
24歳って、凄く大人だと思うのに。違うのかな?
確かに子供の頃、20歳は大人だと思っていた。実際なってみると全然そんな事ないんだけど。
「はは、香江ちゃんはしっかりしてるから。今の香江ちゃんよりずっと子供だったんだよ」
「全然しっかりなんてしてませんよ?」
「してるよ。ほら、スーパーで希乃ちゃん連れてる時、母親の顔してたよ」
お母さんが腰痛で倒れて、希乃愛のお迎え帰りにスーパーに寄ったあの日。
みっくんには「姪っ子?」と聞かれて、正解だったんだけど、その場を逃げるように去った。その時は、まだ希乃愛の母親の存在が不明だったから。
あの子にバレちゃいけないって、ピリピリしてたからね。
「はは、懐かしいな。あの時、希乃ちゃんを怒る香江ちゃんを見て、いいなって思ったんだ」
「……」
「俺は香江ちゃんに叱られたいな」
フッと目を細めるみっくんの顔が目の前に近付いてきた。
「駄目です!ホテルでうがいはしたけど、それ以上こないでください!汚いから駄目です!!」
両手を伸ばして彼の顔を遠ざける。
一瞬、その場の空気に流されそうになったけど、今は絶対にキス出来ない。だって、さっき吐いたのに。絶対無理。
「俺はいいけど?むしろ今キスしたい」
みっくんが私の両手首を掴んで、余裕の笑みを浮かべながら距離を縮めてくる。
「私は嫌です……もうっ、こらっ!やめなさいっ!!」
「はは、いいね。逆にそそる」
「……っ!?」
結局、ちゅっと軽いキスを落とされた。
この人……信じられない。