BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「電話だ。ちょっと出るね」
「あ、はい」
「うん、うん、昨日話したでしょ?動物園だよ。え?今?うさぎの触れ合いコーナーのところに行くところだよ」
笑うと目尻が少し下がる、柔らかい笑顔。
スマホを耳に当てる主任が、優しい声色で話している。
誰と会話をしているのかな──?
「あぁ、心配しなくて大丈夫だから。安心してよ。うん。じゃぁ、また後でね」
通話を終えた主任が「じゃぁ、うさぎさんのところに行こうか」と、希乃愛に笑いかけた時だった。
「あらー、みっくんじゃない!」
後ろから、女の人の声がした。
振り向くと、ふんわりと長い髪の毛をした可愛らしい感じの女の人が近付いてきた。
「偶然だね。今日ね、私もどうぶつえんに来ちゃったー。だって、昨日みっくんどうぶつえんに行くって言ってたから、懐かしくなっちゃって」
この人、誰??主任よりひと回り位、年上に見えるけど。
唖然としてると、その女の人がにっこりと私と希乃愛に「こんにちはー」と話しかけてくる。
「可愛いっ。あなたが希乃ちゃんね」
膝を曲げて腰を下ろし、希乃愛の顔を覗き込む。
でも、人見知りの希乃愛は私の後ろに隠れてビクビクしている。
「ママ、こ、この人、……だぁれ?」
「ほら、希乃ちゃんびっくりしてるから」