BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
家について玄関の扉を開けると、リビングの電気とテレビがついているのが見えた。
まさか、と思って部屋に入ったら、希乃愛が目を擦りながらリビングのソファに寝転っていた。
「あー、ママ、おかえりー」
「えぇっ!?希乃愛、まだ起きてたの?ばーば は?」
「おふろー」
希乃愛が上半身を起こしお風呂場の方を指差すと、シャワーの音が確かに聞こえる。
嘘ぉ、お母さん希乃愛のこと8時には寝かしつけるって言ってたのに。もう10時過ぎなんだけど。
「希乃愛、お風呂は?入った?」
「おふろ、はいったー」
「歯磨きは?した?」
「はみがき、したー」
もう寝ていると思っていたこの子が起きている事で、どっと疲れが押し寄せてきたけど。入浴と歯磨きを済ましていると聞いて少しホッとする。
「じゃぁ、トイレ行って寝よっか?」
「ママー、ののあ、ねむいのー」
希乃愛が再びソファに横になるから、仕方ないなぁと抱っこをしようと手を出した。
すると、固いものが手に当たる。この子が大事そうに抱えていたのは母親のスマホだった。
もう、スマホ育児しないようにって言ってるのに。希乃愛の手からスマホを取って、画面にふと目を向けると"山崎さん"と主任のSNSのアカウントが表示されているから、何故か癇に触る。
「また、主……みっくんに電話したの?」
「……はぁ、みっくん、いなかったのよぉ」
目をトロンとさせる希乃愛がそう唇を尖らせた。