BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「……っ!?」
目の前に主任がいるから、心臓が止まるかと思った。
えっ、何?どこから聞かれてたの!?
「うわ、……熱っ」
動揺のあまり手が滑って、持ってたマグカップが主任の方へ半円を描いて落ちていくから。入れたての紅茶を彼のお腹にぶちまけてしまう。
「きゃぁ、ごめんなさい!熱いですよね??ひ、冷やさなきゃ!!」
「だ、大丈夫だよ。染み込んだ程度で……」
慌てて水道の水をコップに注ぎ彼の腹部にかけた。火傷の時にすぐ服を脱ぐと皮膚が剥けてしまう場合がある事、水は服の上からかけた方が良いと聞いた事があったから。
無我夢中になって、ハッと気が付いた時には主任のシャツとネクタイとズボンがびしょ濡れになっていた。
「ひいぃ、ごめんなさいっ!!」
「奈良崎さん、替えのスーツあるから」
「本当にごめんなさいっ」
やり過ぎた!と、慌ててポケットからハンカチを取り出して、濡れた部分を拭き始める。
「もう、大丈夫だから、落ち着いて」
「でもっ」
「本当に、これ以上は駄目だよ、ね?」
ガシッと手首を掴まれて顔を上げた。
すぐ至近距離に、眉を下げて困ったように少し頬を赤らめる主任の顔が目に入る。
「え?……あ、す、すすみません!!」
自分の手が彼のズボンの位置にあるのに気が付いて、どこを拭こうとしてたのか我に返った。
は、恥ずかしい。男の人のズボンに触れるなんて、これじゃ完全に痴女だ。
「鈴木くんと、随分と仲良しになったんだね」