BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~




「主任には関係ないです!」

「俺は気になるけどなぁ」


声のトーンは穏やかなのに、手首を掴む力が強くなるから、どうしていいか分からなくなる。



「あ、あの、手っ離してください!」

「どんな関係なの?」


そのまま手首を持ち上げられて、主任との距離が縮まった。目の前に彼の顔があるから、真っ直ぐに向けられる視線からパッと目を反らす。



「ど、……同期です!ただの半分同期なので飲みに行っただけです!だからっ、手を」

「そうなんだ。彼に可愛いって言われたの?」

「はぁ??言われるわけないじゃないですか!?」


「……ここ何日か、希乃ちゃんから連絡ないよね。寂しいんだけど、なにかあった?」


主任の甘い息が耳元に響いて、顔全体に熱を持っていくのが自分で分かる。



「俺に飽きちゃったの?」


違う。あの子はビデオ通話で遊びたがってる。
希乃愛が主任に飽きたんじゃなくて、私が連絡しないように仕向けてるだけなのに。

シュンとする希乃愛の顔が頭に思い浮かぶ。
罪悪感と苛立ちが混じりあって、心の中がモヤモヤと困惑していく。


顔を上げると、フッと優しく微笑む主任と目が合った。
どうしよう、引き込まれて動けない──。


そう思った時、ポケットのスマホが振動で揺れた。



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