BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
*****
「ママー!!おかえりーー」
「た、ただいま……ぎゃっ」
家に帰ると希乃愛が"キャーー"と飛び付いてくるから、その勢いで後ろに倒れ込んでしまった。
「えー、ママ、どうしたの?」
「ごめん、ちょっと疲れちゃって……」
私の体に跨いで座る希乃愛が、きょとんと首を傾げる。
いつもなら希乃愛が走ってきても受けとめられるんだけど。今日はそんな元気は残っていない。
────────────────────
─────────………………
「ほらー、あの子だよ」
「営業課の山崎主任と付き合ってるんだって」
「小さな子供がいるって子でしょ?」
「山崎さんって前に離婚してるじゃない?その原因ってもしかして──……」
なんだろう。前にも同じようなことがあった気がする。
主任と付き合い始めてまだ2日で、私だってまだ信じられないのに。
社内では"私と主任がお付き合いをしていること"が速攻で広まってしまった。
「あの奥のデスクに座ってる子だよ」
「意外。若い子がタイプだったんだねー」
勤務中。違う部署の女の人達が廊下を通りすぎるフリをして、私の事をチラチラと見定めていく。
「山崎さんの恋人って本当?」
「あの写真ってあなたの子供だったの?」
トイレでも、好奇心、敵意、様々な視線をむけられるから。
定時になったら急いで上がり、好奇の目から逃げるように職場を後にしたのだ。
……………──────────
────────────────────