BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
8時ジャスト。部屋にインターフォンが鳴り響いく。画面には大きな花束を右手に、菓子折りの入った紙袋を持ったスーツ姿の主任が立っていた。
「こんばんは、夜遅くおじゃまします」
「あらあら、いらっしゃい」
「みっくーーん!」
私が玄関を開けた筈なのに、母と希乃愛が前に出て出迎える。希乃愛に至っては走って彼に飛び付いて、早くも高く抱っこされている。
「綺麗なお花ね、ありがとう。わざわざ手土産まで悪いわねぇ」
「おはなきれいね、かわいー♡」
「山崎さん、夕飯は?何か飲むかしら?」
「はは、食事は済ませてきたので大丈夫です」
お母さんが、嬉しそうき花束を両手に抱えている。
だけど、その淡いピンク色をしたガーベラ。それ私に買ってきてくれた花束でしょ!?
「ほら、香江。早くお茶出して」
「えっ、あ……はい」
私に会いにきた筈なのに、リビングに上がった彼の周りには母と希乃愛がべったり状態。
納得いかないまま紅茶の準備をして、再びリビングへ戻ると──。
「みっくんパパ、ののあ の?」
「違うのよ。パパじゃなくて、香江とみっくんが恋人になるの」
「……こいびとぉ?」
「ママとみっくんは好き同士なのよ。希乃愛、いいわよね?」
「えー??ののあ も みっくんすきよ……」
「はは、俺も希乃ちゃんのこと好きだよ。よろしくね」