BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
主任が膝をついて、希乃愛の頭を右手で支えながら布団の上にゆっくりと横にする。
なのに、希乃愛はまだ主任のシャツをぎゅっと握っているから彼が私の布団に寝転がる事となる。
「希乃ちゃん、離れないな」
「もう、希乃愛ったら……」
仕方なく私も希乃愛の隣に横になって、いつものようにこの子の胸元に手を置いた。
そのまま軽くトントンと叩いていくと、規則正しい寝息が聞こえてきた。それと同時に、主任のシャツを握る手の力が緩んでいくのが分かる。
「寝ちゃったね。眠いの我慢してたからすぐだね」
「本当に、主任がきたから無理して起きてたんですよ」
希乃愛の頬に触れて、愛おしそうに眺める主任を見て心の奥に不安が沸き上がる。
それに、付き合うってことは、すぐじゃなくても大人の関係になる訳で。そういう関係になるかもしれなくて──。
希乃愛の手が離れて、小さな息を吐く主任が自身のネクタイを緩めた。
「わ、私、この子がいてくれるから毎日頑張れてるんです」
「うん、奈良崎さんは頑張ってるよね」
「そ、そんなこと……」
「よくやってるよ、香江ちゃんは」
主任が上半身だけ起こし、今度は私の頭に手を乗せてきた。
そのまま上から距離を縮め、唇を吸い上げるようにキスを落とされる。
「ま、待っ……希乃愛が下に……」
「うん、ぐっすり寝てるね」
「あ、あの……お母さんもリビ……ん、グに」
「子供の寝顔は天使だってよく聞くけど」
「……んんっ、」
「可愛いよ」
え、可愛いってどっち──?
優しい手が私の頬に触れ顔を持ち上げた。そのまま柔らかい唇が押し当てられ、離れる度にチュッと音がする。