廻った世界で,また君と恋を紡ぐ。


「ゆい……。……?」



もう,忘れちゃうかと思った。

周りの人間や思い出を思い浮かべても,わざわざ自分の名前は浮かべないから。

橘 ゆい。



「……好きだって,言いたかったんだ。……ごめんな」



もういい加減,気付いてくれたよね。

どんなに信じられなくても,私の顔を見れば分かってくれる。

橘ゆいも,青島陸斗ももういないけど。



「私も……っ。陸斗のこと,ほんとに,ほんとに好きだった……!!!」



わっと感情が溢れて,私は声を上げて泣いた。

思わず抱き締めると,高峯さんが躊躇いがちに触れてくれる。



「どう,してた? 陸斗は,いつ"高峯さん"になれた? 私はちょっとね,受け入れるのに,時間がっ……っ。」

「……俺は事故に遭った年の,冬に産まれて。俺も信じられなかったけど……ゆいが俺より先に息をしなくなったのも,そのあと苦しかったのも割りと全部憶えてて。死んだ自覚が強かったから,割りきるのは早かった」



そっか,そっか。

そんなにすぐ。

だから,だから高峯さんは私より年上で。

……休む時間も,無かったんだね。
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