最強の花嫁は最愛の花婿を守る為に牙を剥く




「んなもん新婚ラブラブのお前には必要ねぇよな、ダーリン。」

「!!??」

突然、悪魔のような声が降ってきて、尊は背後から何者かに抱きつかれた。

わざわざ振り返って、相手を確かめるまでもない。

ガッシリとした腕の感触に、尊の顔面から血の気が引いていく。

悪友達、とりわけ女子達が目を大きく見開き、頬を染めて言った。

「た、尊君…そ、そのイケメン…誰?」

周防壱は尊の首をしっかりホールドしたままニッと笑うと「ウチの主人がいつもお世話になっております~。」と答えた。

それから、尊の耳元で囁くように一言。

「来ちゃった★」

「来ちゃったじゃねぇぇぇぇ!!」

尊は力の限り暴れてみせたが、壱の頑丈で堅牢なバックハグはびくともしない。

幸い尊の友人達は、イケメンの台詞をイケメンジョークとして受け流した。

昨夜の自分と同じく、これが女だとは微塵も思っていないようだ。

「えー、どういう関係!?どういう関係!?紹介してよ、尊君ー!」

「い、いや、えーと、その…。」

色めきたつ女性陣に問い詰められ、尊が返答に窮する。

果たして自分の平凡な生活に突如として発生したバグのようなこいつを、どう説明すればいいものか。

そもそも彼らは自分がヤクザの跡取り息子であることも知らないのだ。

ここにいる全員が全員『志藤尊』は『どこにでもいる平々凡々な大学生』だと思っていて、尊はそう誤解されたまま、今後も健全な青春ライフを送っていくつもりだった。

それなのに。




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