恋はひと匙の魔法から
すると不意に、大きな節くれだった手のひらが透子の両頬が包み込む。促されるまま上を向くと、整った顔が迫ってきて透子は慌てて瞳をぎゅっと瞑った。
唇と唇が重なり合い、彼の舌が口内へ侵入してくる。今日何度も交わした、食べられてしまいそうなほどの濃密なキス。
西岡は透子の唇を貪りながら、徐々に覆いかぶさるように体重を預けてくる。透子の体が傾ぎ、クッションの上へと倒れ込んだ。そこへすかさず西岡が乗り上げて押し倒される体勢になる。
己の腕の中に組み敷いた透子を、西岡はいつになく柔和な目つきで見下ろした。
「可愛い透子、俺も好きだよ」
その瞬間、胸がいっぱいになって、透子はハッと息をのんだ。
目頭が熱くなり、じわりと視界が涙で歪む。透子はパチパチと数回瞬きをして薄らと溜まった雫を散らすと、満面の笑みを浮かべた。
「私も。私も好きです」
そう言い終えるとまた口付けが降ってきて、透子は身を委ねるように瞳を閉じた。
啄むような甘やかなキスを繰り返し交わす。唇が重なり合う度に、劣情の混じる吐息が口から零れた。身体の奥底に溜まった熱が再び頭をもたげたその時。
弾かれたように西岡が身を離す。
耽美な時間が突如幕引きされ、目を白黒させる透子へ、西岡は首筋を掻きながらバツが悪そうに目をやった。
「これ以上してると絶対止まれなくなる……。お腹空いただろ?夕飯食いに行こう」
壁に掛けられた時計を見ると、午後八時を過ぎていた。お昼にハンバーガーとパフェを食べたきりで、そう言われると途端に体が空腹を主張し始める。
離れがたい気持ちはあれど、夜ご飯を食べに行くという西岡の提案には賛成だった。このまま部屋で過ごしていたら、刺激的すぎて心臓が保たない気がする。今もまだ、どこか夢見心地で心がふわふわと宙に浮いていた。
先に立ち上がった彼の手を借りて透子もクッションから身を起こす。
身支度を整えた透子が西岡の前に立つと、彼はどこか物言いたげな目をして透子を見下ろした。
「あのさ。明日って、何か予定ある?」
「いえ……。特に何もないですけど……」
「じゃあ泊まってく?」
思いがけない言葉に透子は目を瞬かせる。キョトンとしていると不意に手を引かれ、気がついた時には西岡の腕の中に閉じ込められていた。
「まだ一緒にいたい。透子は?帰りたい?」
その聞き方はズルい……。
透子は彼の胸に額を押し付けながら、悶えるようにギュッと目を閉じた。
「私もまだ、一緒にいたいです……」
気恥ずかしさが込み上げ、か細い声で透子が吐き出すと、西岡は透子を抱く腕の力を強めた。
頼もしい腕の中で、透子は一生分の幸福がまとめてやってきたような気持ちになりながら、全身を包み込む温もりにそっと身を預けた。
唇と唇が重なり合い、彼の舌が口内へ侵入してくる。今日何度も交わした、食べられてしまいそうなほどの濃密なキス。
西岡は透子の唇を貪りながら、徐々に覆いかぶさるように体重を預けてくる。透子の体が傾ぎ、クッションの上へと倒れ込んだ。そこへすかさず西岡が乗り上げて押し倒される体勢になる。
己の腕の中に組み敷いた透子を、西岡はいつになく柔和な目つきで見下ろした。
「可愛い透子、俺も好きだよ」
その瞬間、胸がいっぱいになって、透子はハッと息をのんだ。
目頭が熱くなり、じわりと視界が涙で歪む。透子はパチパチと数回瞬きをして薄らと溜まった雫を散らすと、満面の笑みを浮かべた。
「私も。私も好きです」
そう言い終えるとまた口付けが降ってきて、透子は身を委ねるように瞳を閉じた。
啄むような甘やかなキスを繰り返し交わす。唇が重なり合う度に、劣情の混じる吐息が口から零れた。身体の奥底に溜まった熱が再び頭をもたげたその時。
弾かれたように西岡が身を離す。
耽美な時間が突如幕引きされ、目を白黒させる透子へ、西岡は首筋を掻きながらバツが悪そうに目をやった。
「これ以上してると絶対止まれなくなる……。お腹空いただろ?夕飯食いに行こう」
壁に掛けられた時計を見ると、午後八時を過ぎていた。お昼にハンバーガーとパフェを食べたきりで、そう言われると途端に体が空腹を主張し始める。
離れがたい気持ちはあれど、夜ご飯を食べに行くという西岡の提案には賛成だった。このまま部屋で過ごしていたら、刺激的すぎて心臓が保たない気がする。今もまだ、どこか夢見心地で心がふわふわと宙に浮いていた。
先に立ち上がった彼の手を借りて透子もクッションから身を起こす。
身支度を整えた透子が西岡の前に立つと、彼はどこか物言いたげな目をして透子を見下ろした。
「あのさ。明日って、何か予定ある?」
「いえ……。特に何もないですけど……」
「じゃあ泊まってく?」
思いがけない言葉に透子は目を瞬かせる。キョトンとしていると不意に手を引かれ、気がついた時には西岡の腕の中に閉じ込められていた。
「まだ一緒にいたい。透子は?帰りたい?」
その聞き方はズルい……。
透子は彼の胸に額を押し付けながら、悶えるようにギュッと目を閉じた。
「私もまだ、一緒にいたいです……」
気恥ずかしさが込み上げ、か細い声で透子が吐き出すと、西岡は透子を抱く腕の力を強めた。
頼もしい腕の中で、透子は一生分の幸福がまとめてやってきたような気持ちになりながら、全身を包み込む温もりにそっと身を預けた。