鬼上司に恋しました〜本当の、恋を教えてくれたのはあなたです
「…そうか」
どこか、しみじみとした声に引っかかるものがあった。
「ほら、そこに座ってください」
ベットに立って背の高い課長の肩を押して床に座らせてから、真向かいに座った。
「いただきます」
「はい、どーぞ」
綺麗な箸の持ち方で、お味噌汁を先に飲んだ課長。
「あー、美味い」
いつもの強面が、目尻を下げて笑いドキリとする。
そして、肉じゃがへ
「なんか、懐かしい味だな。美味いよ」
強面が破顔して笑う表情に、ドキドキと胸が高鳴った。
「ありがとうございます。田舎料理ですけど、母のレシピの味です」
「…ほんと、美味い。中村はいい嫁さんになるな」
美味しいと夢中になって食べている課長の何気ない言葉だったのだろう。
だが、私の心に何かが刺さった。
「相手がいませんけど。詐欺メイクだから、すぐ、振られるんですよね。騙されたって」
あははと、笑い話にして自分の心をごまかす。
尽くしても、男は皆、すっぴんの私の顔にがっかりして去っていく。
顔で彼氏を選ぶからだと言われるが、メイクを落とす顔を見るまで、どの人も優しかった。
今度は、外見も大事だが、誰にでも優しく接している人を好きになろうと思っていたら、大小路主任に出会った。