鬼上司に恋しました〜本当の、恋を教えてくれたのはあなたです
大小路主任を好きになろうとしていたのに。
なぜだか、私は、目の前にいる鬼束課長にドキドキしている。
「そんな男と結婚しなくて正解だぞ。それに、中村は、何か勘違いしてる。確かに化粧と今の顔は、一瞬、俺もわからなかったのは、謝る。でもな、すっぴんの中村の方が俺は可愛いと思う。さっきかたまったのも、こっちの方が…いや、その、なんだ…」
照れて、鼻先を掻いていて、こちらも、釣られて照れてしまい、頬が熱くなる。
心臓がドキドキどころか課長の話を聞いてからバクバクと暴れている。
大小路主任でも感じなかった、この高鳴り。
「…そんなふうに言ってくれたの、課長が初めてです。お世辞でも嬉しい。ありがとうございます」
「いや、お世辞じゃなくて…ほんとだ。何言ってるんだろな…こんなおじさんに言われても気持ち悪いよな」
「いえ、嬉しいです。きっと課長は、奥さんにも言葉をたくさんあげてるんですね。課長の奥さんが羨ましいです」
課長の年齢なら結婚していると決めつけ、ザワザワとした心のまま課長に愛される奥さんを羨ましく思う。
既婚者は、まずい。
それが、今の私のストッパーになっていた。
「……」
急に、黙ってため息をついた課長。