鬼上司に恋しました〜本当の、恋を教えてくれたのはあなたです

明日で半年が経つのに。

玄関で靴を履いた千紘さんを、いつものようにマンション前まで見送ろうと後をついていく。

「愛梨、明日は、俺んとこ来ないか?」

初めてのお呼ばれに、何度も瞬きを繰り返した。

「いいんですか?」

「あぁ」

「はい、是非お邪魔させてください。お泊まりの準備いりますか?」

苦笑する千紘さん。

「…かなわないな。準備してこいよ」

そう言って、帰っていった。

私は、玄関まで駆け足で戻りドアを閉めたと同時にドキドキする胸を押さえて、数分前を思い出す。

千紘さんのお家にお呼ばれだ…

照れ隠しにお泊りの準備と言ったが、まさかの…嬉しすぎてニヤニヤが止まらない。

どうしよう…エッチするのかな⁈

自分から、あんなに誘っておいてなんだが、いざ、可能性が見えてくると緊張する。

うん、準備はしとこう。
体の隅々まで念入りにチェックして、下着選びに時間を費やした。

翌日、金曜日ということで、仕事が終わればどの人もいそいそと帰っていく。

会社を出て課長から、ただの千紘さんになった人は、私と手を繋いできた。

初めて繋ぐ手に、頬が緩むのは致し方ない。

手を繋いで、千紘さんのマンションまで歩く道中、すれ違うカップルにも、腹が立たない。

手繋ぎは、効果抜群で、やはり、浮かれているらしい。

私の住むマンションと違い、高そうなファミリー向けのマンション。

別れた奥さんと住んでいた場所なのだろうと伺える。

玄関も広く、リビングも広い。やはり一人住まいのマンションではない。

「悪いな。なかなかお前を呼んでやれなかった理由。前の奥さんと結婚する時に買った家だから。そんな家、嫌だろ」

「そうですね。買ったら、なかなか引越しもしにくいですよね」
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