やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 それで、そんな女に騙された父に勘当を申し渡したのだが、それは何故か口だけで、父は貴族籍のままだった。
 私と弟の出生届を出す際に、キャンベルの姓で届けを提出しても特に問題なく受理されていた現実を、父は疑問にも思わなかったようだ。
 私の父はそういう人だ。

 もちろん、母とムーアの祖父はわかっていたが、関わりを持たないのなら、キャンベルの親子関係に口出しをすることはないと放置していた、と後から聞いた。


 父はムーアのフルーツ専門洋菓子店『シーズンズ』都内5店舗の統括責任者として働き、4人で気楽に暮らしていた家族の運命が変わったのは、私が11歳の冬だった。

 勘当されて実家との縁は切れていると思っていた父に、伯爵家の顧問弁護士が訪ねてきたのだ。
 隣国の鉄道脱線事故で兄夫婦が亡くなった、という。
 一緒にいた姪は奇跡的に軽傷だったが、当時は女児は爵位継承が出来なかったので、弟の父に爵位が回ってきたのだ。
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