やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「モニカに頼まれて荷物を取りに来たんですか?
 早く私から離さなきゃいけないから、でしたっけ。
 正義のヒーローは行動が早いですね? ハイパー先輩」

 ドア越しの会話に明らかにわかる嫌味を含ませる。
 すると、シドニーは笑った。
 ドアの向こうだ、見えなくて良かった。
 苛立ちは、目の前で笑われた半分で済む。


「今はさ、モニカも居ないし。
 いつも通りシドニーでいいよ。
 俺も、ジェンって……」

 シドニーがひとりなら、こちらは入れる気が全くないのに、閉め掛けたドアに素早く差し込まれた足がぐいぐい押し入ろうとしてくる。


「どうしたの、入れてくれよ、ジェン!」

「あのー、ジェンは無しで、キャンベルでお願いします、先輩。
 モニカが一緒の時に出直してください。
 私は色気無いですけど、一応女なので男性を入れたくないです」
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