やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 好みだ、と言われたけれど。
 色気無しディナ、と言ったオルの言葉は、私のささやかな胸に残っていた。


「先輩なんて、ふたりきりで会う時は言うなよ。
 話がしたかったんだよ……モニカの邪魔が入らないところでね。
 用事があるから、って親にも嘘ついて、ひとりで始発に乗って戻ってきたんだ。
 一昨日だって途中であんなになったけど、本当はジェンに聞いて欲しい話があったんだ。
 な? 入れてくれ、って!」


 親に嘘をつくのも、始発に乗って戻って来るのも、シドニーの勝手だ。
 言葉にするのが押し付けがましいな。

 もう、それだけで腹が立つ!



 クレイトン駅5時15分の始発に乗るために、ウチの皆を叩き起こしてでしょ?
 貴方の我が儘で、朝食の準備(車内持ち込み弁当にさせた?)、駅まで送る車の用意、全部誰かにお世話になってるの!

 貴方は列車に乗ったら6時間、ぐっすり眠って帰ってきたんでしょうに!
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