やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 カジュアルな感じだった夜の服装とは違い、ステッキを持ち、きちんとボウラーハット、ラウンジスーツを身に付けたフィリップスさんは、私達の様子を見て。

 半裸のオルの方がややこしいと判断したのか、先ずは部屋の外に居るシドニーを片付けると決めたようだ。


「貴方はシドニー・ハイパー・エドワーズさん、ですね?
 昨日の今日で、ジェラルディン嬢の部屋を訪ねるとは……
 そちらの弁護士に正式に抗議しても?」


 そちらの弁護士?
 モニカは既に昨日の時点で、弁護士を立ててきたの?
 それを知ってて、抗議をするフィリップスさんって…… 

 睨むのをやめて、顔色を悪くしたシドニーと、呆然としている私に、彼は名刺を差し出した。
 それは一昨日の夜の名刺とは違うもので、肩書きと電話番号が印刷されていた。


─ 法律コンサルタント  
 オーウェン・フィリップス ─



 ……本当と、それらしく見えるもの、を。
 上手に使えるひとなんだろうな、と思っていた。
 だから、信用してはいけない、と。


 予感は的中した、残念ながら。
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