やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 祖父に命じられて身辺を見張っていたひとに、パピーのことは祖父に知られたくないと言った私。
 ……笑える。
 結局は自由そうに見えても、祖父がエサの面倒を見てくれる籠の中の鳥だった。

 私は乾いた気持ちのまま、リビングへ入った。


 私が来たので、オルがリビングのローテーブルに2人分の飲み物を用意してくれた。
 そして自分はキッチンに立ったままでこちらを眺めている。
 その様子をフィリップスさんがじっと見ていたので、また何かキツいことを言われるのか、と身構えたが、何も言われなかった。


『聞かせていただかなくてはいけないこと』と言っていたし、後からまとめて、お説教をするつもりなんだ。

 あー、憂鬱だ……
 今年度が終わるまで、学生寮に空きは出ない。
 来月からは祖父の屋敷で同居になるのは、目に見えている。
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