やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 そして王都から帰ってきた夫が珍しくモニカの部屋を訪れた。


「ジェンに会って、愛していると告げたが、断られた。
 これから、俺はここを出る。
 死ぬ前に、この国から出ていく。
 君も好きにしろ」


 モニカは喜んだ。
 今ではクレイトンなんかに愛着はない。
 こんなところには、もう縛られない。
 私だって、これからはジェリーのように、好きなように自由に生きるの。

 ジェリーがシドなんかを愛するわけがない。
 だけど、きっと寂しがっている。
 ひとりぼっちは、私も一緒。
 また王都で、あの部屋で。
 ふたりで楽しく暮らそう。
 思えば、あの1年が辛いことばかり起きる私の人生で1番楽しかった。


 ジェリーは優しいから、私を拒否なんかしない。
 だけど、あの時のケンカをまだ覚えていて、嫌だと言われたら。
 ひどいことを言ったのはジェリーだけど、もう許してあげてもいい。

 そこまで折れても、嫌だと言われたら。


 私は死にます。
 ジェリーが嫌だと言うから、私は死ぬのです。

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