やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
第2章 いつか、あなたに会える日まで

「だから!誰に!断って!ここ!」

 いきなり誰かの怒鳴り声が聞こえた。



 ……うるさいなぁ、私はさっきオルが最後に言ってくれた(と信じてる)
『好きだよ……』を噛み締めていたのに。

 一体、誰が、誰に、大声を出して怒っているのか、と思っていたら。


 どうやら怒鳴られていたのは、私みたいで。
 怒鳴っていたのは、なんとなく見覚えのある男だった。
 誰だっけ、とぼーっと見ていたら、少しずつ記憶が甦ってきた。


 それは3年後ではすっかりご無沙汰だけど、高等学院時代のシドニー・ハイパーの周りをウロチョロしていた男ゲインだ、と思い出した。
 ファーストネームは知らない。
 シドニーがいつも冷たくファミリーネームでしか呼ばなくても。
 彼に友情と言う名の忠誠を捧げていた男だ。


 ゲインの名前を思い出して、少し我に返った。
 見渡せば、ここは……

 高等学院の食堂で!
 3年生の男子に怒鳴られている!
 周囲の皆に、ものすごく可哀想な目で見られている1年生女子!
 それが、私!


 私は無事に、3年前に戻ってきたんだ!
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