やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 ……どうして、子供に嫌味を言わないといけないの。

 私はこの子の悔しそうな顔を見たくて、時戻しの魔法を掛けられたんじゃない。
 美味しいケーキや見たこともない車で、皆の関心を奪おうとして。
 自分の下劣さに反吐が出る。


 私の今の姿を見たら、オルだって呆れて、一生ものの恋も冷めるだろう。
 何より、私も自分が嫌になる。


 リアンにされたことを思えば、怒りで自分を動かせた。
 だけど、この子は弟と同じ様に幼いのに!
 与えられた情報や、目の前で優しく微笑みかけられて。
 この子達は、それを信じただけだ。



 信者達を憎いと思っていた。
 モニカの虚像を信じて馬鹿じゃないの、と。
 だけど、子供達と会って。
 モニカを信じたのも仕方がないと分かった。
 誰がお金を出してるかなんて、重要なことじゃなかった。

 何故なら、実際にこの子達と触れ合うために、あの丘から降りてきたのはモニカだけだった!


「ジェリー、来てくれたの!」

 そこに聖女モニカだ。
 モニカは私より少し年下な感じの少女と腕を絡めていた。

 その姿は、女らしさを取り違えていたシアの姿と重なる。
 そうか、私がシアに対して素直になれなかったのは、モニカと被っていたからだ、と気付く。


 彼女の姿を見たことで、私が自己嫌悪の渦から抜け出せたのは皮肉だ。
 気持ちを立て直して、モニカに笑いかけた。

 私が潰したいのは、モニカを信じた彼等じゃない。
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