やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 まあ、私も。
 口止めされなくても、べらべら話す気はありませんけれど?


 彼がこのまま配達するのなら、受け取ればサインするだけだ。
 解雇した方が良いのなら、祖父がする。

 私は動かない、関わらない。
 愛情だけが悪縁に繋がるのではない。
 憎しみも悪縁となる。


 シドニーとの悪縁を断つ。
 それがオルと私の目的だったから。



 その後、シーズンズで2週働き、10月がやって来た。
 配達の受け取りは、その時に手の空いているひとがすると決まっていて、あれから私は受け取っていないので、シドニーが続けているかどうかは関知していなかった。


 明日、帰省したら。
 モンドに頼んで、そのまま孤児院に連れていって貰おう。
 モニカは慰問に来ているだろうけれど、一目見るだけでいい。
 オルくんが私のオルなのか、確認が出来る!
 もうそれだけでいい!
 話が出来たら、もっといい!

 軽い興奮状態をメリッサに見抜かれて。


「実家に帰るの、本当に嬉しそうね」

 と、良いことのようにしみじみと言われて、恥ずかしくなった。
 
< 235 / 444 >

この作品をシェア

pagetop