やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 ここでもシーズンズの名前は絶大で、他のご令嬢も興奮してきた。


「シーズンズ!」

「1度は行ってみたいと!」

 そこへエマが、ケーキをもって現れたので、その場に歓声が上がった。
 女性と子供にとって、見た目が可愛くて美味しいケーキは正義だ。


 モニカの反応を気にしていた母も、皆様の喜びように頬を染めている。
 見ろ、意地悪な叔母はこんなことで嬉しそうにするひと、なんだよ。
 よく見て、認識を改めろ。
 そして、噂を広めるんだ。


『本当にモニカ様は虐げられているの?』


「奥様、もしご迷惑でなければ、私にもお菓子の作り方を教えていただけませんか?」


 ハント嬢が母に願い出てくれたので、また良い方向へ話題が転がる。
 もう、本当に、このひと好き過ぎる!
 ヴァイオレットお姉様、と呼びたい!


「私で良ければ、こちらこそよろしくお願い致しますね」

 母が快諾したので、他のご令嬢も負けじと手を上げた。
 母のお菓子教室が盛況になるのは予想できる。
 この3人以外に、何人母に教えを乞うご令嬢が集まるだろうか。


 ……シーズンズの話に盛り上がる私達。
 私が働いていると告げると、また更に盛り上がる。


 ただ、ひとりモニカだけはケーキに手を付けずに、下を向き。

 時折、私とハント嬢を交互に睨んでいた。
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