やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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「お疲れ様でした、大変でしたでしょ?」

 下拵えを言いつけられるのではなくて、労われてしまった。
 体力がないと思われている?


 最近は週に1度だけだけど、立ちっぱなしで働いてて少しは体力も出てきた。
 だけど、丁度サーラさんに聞いていただきたい話があった。


 それは出掛けしなに、母にお願いした話だった。
『先方が賛成してくれるなら』と母は前向きだった。


 ◇◇◇


「奥様のお菓子教室にウチの子達を、ですか?」

 私が提案したのは、ノックスヒルのキッチンに希望する子供達を招いて、お菓子作りを母から学んで貰うことだ。
 焼いたケーキを母が届けるのではなくて、自分達が食べるケーキを自分達で焼いて、持ち帰って貰う。

 焼いて冷まして、デコレーションして。
 冷ます時間はお茶を飲んで、皆でお話をする。
 ケーキを焼くオーブンを新たに孤児院に設置するお金はない。
 それなら、来て貰って焼けばいい。



 最初は来たい子なら、誰でもと思っていた。
 だけど、クララから話を聞いて考えは変わった。

 ケーキを焼きたいと希望する13歳以上の子供達。
 彼等を毎月招いて教える。
 そこから……
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