やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「どうして13歳以上と限定を?
 小さい子供達は足手まといになるからですか?」

 詰問してくるサーラさんが好ましい。
 この方は本当に子供達のことを考えてくれているのが、それで分かる。
 領主が半ば命じたことでも、納得出来なければ反対をするひとだ。


「13歳以上になっても養子の口がなくて、自分達には労働力しか期待されていないと、将来を悲観して欲しくないからです」

「……」

「ケーキ作りは取っ掛かりだと思ってください。
 文字通り、そこから将来はケーキ職人やパン職人になりたいと思う子が出てきてくれたら嬉しいです。
 だけど、ケーキにはそれだけじゃない。
 フルーツや生クリームや牛乳、卵、小麦粉も使用します。
 果物を育てることや、畜産、農業、それらに興味を持ってくれるかも。
 自分達の労働がこんな風に繋がっていくことを実感して欲しい。
 また、もの作りだけではなくて、送迎も荷馬車になるけれどいつもの御者にして貰います。
 彼には車の免許も取得して貰うので、男の子なら、そこから……」

「領外に目を向けさせて、ですか?
 そんな夢を見させて、却って子供達を辛い目に遭わせるだけでは?」

「出ていきたい子供が居るなら、その夢をその子が叶えようと努力するなら、伯爵家……
 いえ、はっきり申し上げます。
 ムーアが彼等をバックアップします」

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