やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 モニカが女伯爵になってから、マーサを引き取る話は進めてくれたら良いんじゃないかな。
 それか、今から荷馬車に同乗して、モニカとふたりで両親に直談判する?
 だけど、多分モニカは本気でそんなこと思っていないから、丘の上の邸には貴女を入れないと思うよ?
 ……とまでは、さすがに言えない。


 モニカは静かにマーサの腕を外して『帰るわ』と、彼女に言った。
 でも、それだけだ。
 もうそれ以上、マーサに声をかけること無く、荷馬車に乗り込んだ。
 唇をきつく噛んだマーサが内に駆けこんだが、その後ろ姿さえモニカは一瞥もしなかった。


 さようなら、モニカ。
 次は伯爵夫人のお部屋で会いましょう。


 ◇◇◇


 内では丁度、昼食が終わって、幼い子供達はお昼寝、少し大きな子供達は片付けや掃除をしていた。
 やることがあるから、マーサ以外の子供達はお見送りに出てなかったのね。


「おー、ジェリー!
 車まだ買わねーの?」

 ベンが早速来てくれた。


「来年だって言ったよね?
 毎月、それを言ったら、ぶっ飛ばす」


 私が彼から先月に言われた言葉で言い返すと、ベンがゲラゲラ笑ってくれる。
 そして、私が尋ねる前に教えてくれた。
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