やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

32

 私の男はもうここには居ない。
 魔法学院に入ったら、もうおいそれとは会えない。


 サイモンがここに来てるの?
 じぃじめ、第1土曜に孤児院に遊びに来ていることを話したのね。

 どういうつもりで、サイモンが会いに来たのか分からないけれど。
 いいわ、夜にはモニカと対決するし、同じ日にサイモンにも……


 サーラさんが今日も責任者らしいので、声を掛けさせていただく。
 サイモンはサーラさんにも、話を通していたらしく、
『いつもは第1土曜にはいらっしゃらないの。
 今はお手伝いはいいから、彼とお話をしてきたら?』と生温い目で仰る。


 クララとふたり別室で昼食を食べていたらしく、応接室だと知らされた。
 そう言えば、短時間でもここにいる時間は重複していたモニカとはもう会ったのかな?
 いや、もっと前から顔見知りだったかも?
 そう考えなから、扉をノックした。


 はい、と応える声がしたので扉を開くと、サイモンが驚いたように私を見た。
 ローテーブルにはふたり分の食器があったから、回収に来たのかと思ったのかな。
 ここでは自分が食べた食器は自分で運んで洗うのよ、覚えておいてください。
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