やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 2人がけソファに座ったサイモンの膝の上には、クララが眠っていた。
 風邪を引かないように、彼は自分の上着を掛けている。
 サイモンは10歳離れた妹を溺愛しているんだ。


「気持ち良さそうに眠ってる。
 お邪魔でしょう?」

「1度寝たら、なかなか起きないから……」


 私は向かい側のひとりがけに座った。


「今日、ここへ来るってヒューゴさんに聞いたから」

「……」

「あのひと、君の何?
 あのひとの伝手で、シーズンズで働いてるのか?」


 まあ、伝手は伝手だ。



「そうです、母方の祖父になります」

「伯爵夫人の?」


 母の父が作業服を着た下働きのお年寄りだと聞いて、何故かいきなり嬉しそうな表情になる。
『さすがキャンベル卿……』と呟いているので。
 その実態を教えるのは止めた。
 顔と性格の良さだけで、母を射止めた父なんです、と。
 でも、思い返せば父も年上の女性好きだ。


「さっきまで、私の従姉のモニカ・キャンベルが居たんですが、以前から知り合いでしたか?」
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