やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「はい、また王都でお会いしましょう」


 これで、サイモンとの悪縁は切れたかな。
 今回は、貴方に。
 おとといきやがれは、言わなくていいみたいだ。


 ◇◇◇


 デイビス兄妹を乗せた馬車を見送って、先月のようにお手伝いを申し出た。
 駅からの帰りに、寄ってくれるようにモンドに頼んでいる。


 オルもクララも居なくなったけれど、受け入れてくれるならこれからもここに来たい。
 隣で同じ様に見送っていたサーラさんが私の方に顔を向けた。


「例のお話、あれから他の方とも話し合って、神父様にもご相談して。
 先月のケーキを持ってきてくださった奥様からもお話を聞きました」


 例の話……ノックスヒルでのお菓子教室の話だ。


「先程のムーア様との電話のやり取りを失礼ながら、聞かせていただきました。
 子供達の将来は自分で決めて貰うことにしました。
 先にあれこれ心配して、彼等を守ろうとするのではなく。
 何かあれば助けてあげられればいい、と思いました。
 打ち明けてくれる環境を、大人が整えればいいんですよね」

「……」
 
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