やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 オルに『誰かに時戻しの話をしてもいいのか』と尋ねた時には、私の中では、既にふたりが浮かんでいた。
 ムーアの祖父とモニカだ。
 サイモンに話してしまったのは、流れみたいなもの。


 祖父の協力は必要だと思ったし、モニカは当事者だからだ。
 彼女との関係が変わらない限り、クレイトンを巡って悪縁は続く。



「謝罪を受け入れろ、とは言わない。
 そんなに簡単な話じゃないものね。
 貴女にも言いたいことはあるでしょう。
 それを全部吐き出して、その上で……私と。
 私の家族とやり直す気になれたら、お願いしたい」



 モニカもここまで来たら、吐き出す気になったようなので、私は一旦、お茶を取りに部屋を出た。
 この間にモニカの中で、何を話して、何を話さないか、考える猶予もあった方がいいと思っていた。



 
「叔父様が新しい伯爵となって、自分はどうなるのだろうかと不安でいっぱいだったのに、初対面の叔母様は最初から満面の笑顔で接してきた」


 モニカがぽつぽつと話し始めたのは、そこからだった。
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