やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
  ◇モニカ視点◇


 叔母様は驚きの提案をしてきた。
 お母様の部屋を私に譲りたい、と。

 当然のように、当主のお父様の部屋と続き部屋のお母様の部屋は、ノックスヒルの最上のお部屋なのに?
 叔母様はそこに自分が入るのは申し訳ない、と言ったの。

 部屋には、お母様の肖像画が掛けられ、お気に入りの家具やカーテン、内装から全てが、お母様のお好みで設えられていた。
 お隣のお父様の部屋も整えられたのはお母様で。

 でも、私は叔父様達がそこに入るのは当然だ、と思っていたのよ。
 肖像画も外して、私の部屋に運んで貰おう、と思っていたのに。


『あのお部屋は、私よりも貴女の方が相応しいし、亡くなった義姉様もそう望んでおられると思うの』

 叔母様がそう言えば、叔父様も同意された。
 叔父様ご夫婦は叔母様が何事も決めていくんだ、とその時知ったの。


 それで、それで私は……

 今まで通りの部屋がいい、とは言えなくなった。
 私のそれまでの部屋はそのままで、誰かが使うことはなかったから、あっちがいいの、と言えば良かったのかもしれないけれど、言えなかったの。

 そんな可愛げがないことを言えば、もうここに置いては貰えなくなるのでは、って……
 そう思ったから。
 
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