やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「作業服を着た男なんて、誰も意識して見ないよ。
 特に若い女達なんて、道ですれ違うと、すごく避けられる。
 誰も俺のことなんか覚えてないし、街で紛れるのにはこの格好が1番だ。
 その証拠に、ムーアの旦那様も作業服で出没してるんだろ?」


 祖父がやめてくれ、と頼んでも、デイビス兄妹は旦那様と呼んでいた。
 彼等は邸に引き取られていても、一線を引いていて。
 だから、サイモンは働き続けているのかもしれない。



 年が明けると、大学入試が本格化する。
 彼のバーナビーとの契約が年内終了だったのは、そのためだ。
 エドワーズ侯爵から逃げたので、大学進学はどうするのだろうか。
 入試必要書類作成のためには、連絡を取らなくてはならないだろう。

 その辺りも祖父と話はしているのだろうか。
 彼の進学については、私には何も出来ないのでこちらからは聞くのをやめた。
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