やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 そこに居てはいけないふたり。
 サイモンとクララのデイビス兄妹……

 何でこんなところに居るの?
 サイモンは馬鹿なの?
 男子寮から離れているとは言え、次々にウチの女生徒が帰って来てるのよ?


 今日は本当に、何て日だ!
 

 サイモンと顔を合わしたモニカ。
 ちょっと待って?
 ふたりが初めて会うのは、クレイトンにサイモンを招待した来年の6月か、と思っていたのに。
 前年の11月には会っていたの?


「ねぇ、彼誰なの?」


 モニカは私に手を上げたサイモンを不審に思ったようだ。
 あの人が貴女の夫になるあのシドニー・ハイパーですよ、とは言えないから。
 サイモンとして紹介をするしかない。


 本当に不思議なのは、サイモンが言っていた通り、眼鏡を掛けて地味な服を着て変な形の帽子をかぶり、クララを抱いたシドニー王子に、女子寮の皆が気がついてないことだ。
 一瞬『誰だ?』と視線は向けても、直ぐに外して通りすぎていく。
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