やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 私に見られても、ヨエルは平気そうだ。


「君達のために馬車を使ったんですよ?
 私1人なら移動に必要ないのにね」


 私とモニカをここで片付けたら、ヨエルは直ぐにムーアの邸へ移動するつもりだ。
 さっきまでここへ連れてくれば、魔法庁の人達が来てくれて、どうにか助かる気がしていたけれど……
 

 不安に襲われた。
 この黒い魔法士に勝てる白い魔法士なんて居るの?




 ヨエルが何かを呟くと。
 入口の鎖が弾け飛んで、鍵も破壊された。


「ここを選んだのは、センスがいいですね。
 建物自体レンガ作りで、壁も床も頑丈だ。
 ねぇ、生きたまま壁に塗り込められて、皆がダンスをしている姿を眺めているか。
 同じく生きたまま床に埋められて、身体の上でステップを踏まれるのと、どちらがお好みかな?
 好きな方を選ばせてあげますよ?」

「どちらを選んでも、生きたままなんですね」

「どんどん埋められていく恐怖と息が出来なくなる苦しさと。
 君にはじっくりと味わっていただきたいんです」
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