やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「それなら分かりますよね?
 私はスピネル、ルビーの偽物です」

「スピネルはルビーのまがい物ではありません!
 間違えられるのは多いけれど、ルビーは加熱加工しなくては輝かないのに対して、スピネルは産出されたそのままで、生まれたままで輝いているんです!」


 私の言葉を、ヨエルは馬鹿にしたように嗤った。


「そうだった、君はそういうの、得意なんですよね。
 アレにも、その名前は両親から愛されて付けられた名前なんだとか言って、すっかり手懐けたんでしょう?
 私にもその調子で、ヨエルは預言者の名前ですから……なんて言うつもりだったかな?」

「……私はそんなつもりは」

「でもねぇ、私はそんな小賢しい上っ面の言葉には絆されないんですよ。
 どうでもいいから、いい加減に名前を付ける親はいっぱい居るんです。
 ここからは、そういう父親を持った外れ魔法士の話をしてあげます」


 ヨエル・フラウは魔法庁から助けが来ても、勝てると思っていて、ギリギリまで話をしようと決めたようだ。


 オルを『アレ』と呼んでいること。
『アレ』から私の話を聞いていること。
 魔法学院で親しくしていたのだろうか?


 オルに対して複雑な想いを抱いているようだし、年齢も私より年上のようだし、普通の友人関係ではなかった?

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