やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

47

「私はねぇ、アレ、オルシアナスの小僧が入学してくるまで、最年少記録入学者だったんですよ。
 学院創設以来、最高の魔法士になるだろうと言われまして、魔法判定を受けた後、頭を下げられて入学しました」


「放蕩者の外国人ギュンター・フラウ。
 後のグーテンダルク伯爵に遊ばれて捨てられた母は、昔流行っていたコーヒーハウスと呼ばれる男性専用社交クラブの女給でした。
 ひとりで私を育ててくれていた母と住んでいたのは、小屋みたいな家で。
 離れるのは辛かったけれど、結構な額の年金を貧しい母に渡せるのが嬉しかったんです」


「魔法学院は学費が無料なのは全員だけれど、成績上位者は家族年金が出る、って知ってます?
 その意味は分かりますか?
 突出して魔力の強い子供は国が囲いこんで、親元には2度と返さない。
 返さない代わりに生涯年金を与えるから、子供は諦めろ、ってこと。
 子供を魔法判定に出したくないのは、国に取られるのが嫌だからと言う親もいるらしいけれど、大体は喜んで差し出すんです。
 我が子を死ぬまで国に売るんですよ、名誉と金です」

< 372 / 444 >

この作品をシェア

pagetop