やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

「母は卒業したら年金は要らないから、家に帰ってきてと泣いてくれたけれど、どこからかギュンターが私のことを聞きつけましてね。
 あっという間に認知してフラウ家の籍に入れられました。
 おかしいでしょう? 私は1度もフラウ家の奴等に会ったことはないんですよ?
 話す言語だって違っていて、それなのに、長男だって……
 正妻が産んだヒルデって娘より年上なのが笑えますよね?」


「それから直ぐに、母の小屋は燃えた、と連絡が来て。
 私の家族年金の受け取りはギュンターに書き替えられていて。
 母の権利譲渡のサインが書類にあったけれど、無理矢理書かせたのは分かります」




「その火事で、お母様は……」

「いつか、こいつらを片付ける時は燃やす、とその時に決めたんです」


 どんどん話が凄惨な様相を帯びてくる予感がして、正直もう聞きたくなかった。
 侯爵と協力した犯罪のひとつひとつを説明してくれなくてもいいから、と言いたいのに。
 ヨエルは何かに取り憑かれた様に話し続けた。
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