やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「モニカはウチの両親が、自分から奪った伯爵位には相応しくないのでは、と閣下に思わせたいのよ。
 その為にもわざと知らせないで、驚くお父様が恥をかく姿をお見せしたいのでしょう。
 もしもモニカが法的に訴えることを視野に入れているなら、閣下のお力を借りるでしょうね」

「……」


 サプライズで驚かせたかったから、と言い訳すると思われるモニカの魂胆を隠す謂れはないので、さっさとクリフォードに教えた。 
 それを聞いたクリフォードは無言だった。
 彼は今、受話器を握り締めて、どんな表情をしているのだろうか。


 私は今の情報が、クリフォードの中に浸透していく時間を計ってから、続けた。


「両親が恥をかかなくてすむように、お願い出来るかしら?
 全ては貴方に、かかっているの」

「かしこまりました。
 お任せくださいませ」


 短い通話だったがこれで大丈夫、クリフォードがお任せください、と言ったのだ。


 いちいち言わなくても、彼は完璧に対処する。
 これからノックスヒルの使用人一同を総動員して、侯爵ご夫妻をお迎えする準備に取りかかるだろう。

 侯爵閣下に相応しい最高級のおもてなし、で。
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